2050年の日本と世界(4)―食糧危機へ備えは必要

1.2050年の世界の食料事情

 30年後の2050年に世界はどのような食糧供給予測をしているのだろうか.悲観的な見方と楽観的な見方がある.悲観的な予測のREUTERS(ロイター通信,2020年9月9日)付けの報告は以下のとおりである.

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     楽観的な見方はキャノングローバル戦略研究所のメディア掲載 グローバルエコノミー(2018年7月23日)の山下一仁氏の報告である.山下氏の報告には「世界の人口が増え,食料危機が起きるのウソー世界中の農業専門家が作り上げたフェイクニュースの実像に迫るー」という刺激的なタイトルが掲載されている.グラフ等は省略しているので,興味のある方は原文を見て欲しい.

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    悲観的な見方では2050年に10億人の避難民がでるということだが,一方楽観的な見方では食糧危機はフェイクニュースだという.残念ながら,私の予測される寿命ではどちらが正しかったのか確かめることはできない.

2.日本は2050年までの食糧危機に備えなければならない

 キャノングローバル研究所の山下氏が,2050年までの食糧危機はフェイクニュースであるという主張は,食料危機を心配する必要はないということであろうか?そうであれば私はその意見に賛成できない.賛成できない最大の理由は,日本の食料自給率がカロリーベースで37%(2019年)であるという事実である.自給率が低いということは輸入に頼っているということになるが,食料生産は自然現象(干ばつ,大雨,台風,地下水源の枯渇,高・低温)などによって大きく影響される.最近ではマクドナルドのフライドポテトがカナダの水害や米国のコロナ禍による物流の停滞を生じた結果,ジャガイモ不足により生じている.さらには,世界の乾燥地帯では帯水層とよばれる地下水が利用されており,その帯水層の枯渇が起こる可能性が指摘されており,インド,パキスタン,ヨーロッパ南部,米国南部・西部の穀倉地帯の影響が指摘されている.(2021/6/26の私のブログ)地球温暖化はますます大きな自然災害を引き起こすと思われるが,予測不能である.自然災害は全く予測できないので,日本はそれによる被害を防ぐためにも,自給率を上げておかなければならない.

 特に注意すべきはトウモロコシ,小麦,大豆などの主要な輸入作物であるが,それらは世界の主要な食用,飼料作物でもあるので,その生産量の減少や人口増加による消費は,日本への輸入の困難に直面することになる.従って,日本は2050年までの食糧危機に備えるために,農業の振興を図り,トウモロコシや小麦の代替作物としての稲の品種改良や増産を果たしておければならない.

 今後の注意すべき動向は大豆である.SDGsによる牛の飼育減に伴う人口肉の原料として大豆の消費が大きくなると思われ,世界で2番目に生産量の多い米国の消費も増加すると思われるので,国産大豆の生産増も望まれる(現在はわずか6%の自給率).大豆ミートはタンパク質量が牛肉に匹敵し,低カロリーで脂質量は極めて少ないから健康意識の高揚とともに摂取量が増えることは間違いない.